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マエストロ 著者:篠田節子
30代前半の美貌のヴァイオリニストが主人公の長編小説です。
世界的な音楽家として知名度があるにも関わらず、彼女は自身の音楽の才が一流半であるという感覚を払拭できないでいました。
その葛藤と苦悩を抱え込みながら、彼女は自身の音楽の原点を求め続けます。
しかしその模索中に、思いもよらぬ事態が彼女の身の上に降りかかりました。
果たして、主人公の音楽家としての生命はどうなるのでしょうか…? |
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負けない私 著者:群ようこ
1998年に刊行された単行本を文庫化した書です。
表題作を含む10篇の短編が収録されています。シチュエーションは異なりますが、どの作品にも”とんでもない困ったちゃん”が登場します。
わがままな孫、引きこもりの兄、五月蠅い姑、エトセトラエトセトラ…。
主人公たちはその彼らに振り回されながらも、心のどこかで冷静な目で見ています。
彼らに対して”イヤだなあ”という思いを持ちながら、”まあ仕方ないか”という楽観的な諦念を持っているのです。
そんな主人公たちにはきっと共感を持つこと間違いなしでしょう。
全作品テンポがよくてとても読みやすいです。
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マリー・アントワネットの恋人 著者:藤本ひとみ
1789年に起こったフランス革命を背景にした物語です。もちろんその渦中にあるパリが舞台となっています。
主人公はかつてのマリー・アントワネットの幼馴染であったルーカスという名のウィーンの青年将校です。
フランス王家に嫁いだアントワネット存亡の危機を救うために、彼はウィーンから密使としてパリに派遣されます。
しかし幼いころより精神が成長していないアントワネットや勢いづいた革命の火が、彼の彼女への救助の手をさえぎります。
果たしてルーカスはかつての、そして現在も思いを寄せている王妃アントワネットを救うことができるのでしょうか?
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マリー・アントワネットの遺言 著者:藤本ひとみ
フランス革命により断頭台で処刑された王妃マリー・アントワネット。
その母の残した遺言を娘マリー・テレーズが司祭に翻訳させながらアントワネットの裁判時を回想していくストーリーです。
失脚した王族の悲惨な運命はもちろんのこと意外なアントワネットの一面や当時の社会情勢がよくわかる読み応えのある書です。
冒頭部分が重く堅苦しいですが、読み進めていくとぐいぐいとストーリーに引き込まれていきます。
また欧州王族がすんごくタカピーだということがわかります(笑)。民衆怒って当然っす。
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マリコ、カンレキ 著者:林真理子
文芸雑誌「週刊文春」に2014年1月~2015年1月まで連載された林真理子氏のおなじみのエッセイ集です。
タイトル通り、著者は還暦をお迎えなさいました。
自分は何も変わっていないと思ってはいたけれど、時による自分を含めた周囲の変化は確実にあるということに気づかれています。
特に「60歳以上のお客様」という文字がやたら目につくご様子です…。
それでも相も変わらずいっぱい食べて、たくさん買い物して、趣味に仕事にとパワーを注がれています。
人生をめいいっぱい楽しまれていることがよく伝わってきます。
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マリリン・モンローという女 著者:藤本ひとみ
セックス・シンボルとされたハリウッドの女優マリリン・モンローの生涯を描いたストーリーです。
全世界に名を知られている彼女に関して、ある程度のことは皆さんご存知だと思います。
でもそれって脚色されたものなんです・・・。本当の彼女の姿がここに描かれています。
女優として脚色されたモンローの人生ではなく、本物の女優になりたかったノーマ・ジーンの赤裸々な姿が・・・。
実は彼女は孤児ではないし、義父にレイプされてもいません。(実際はレイプ未遂で終わっている)
セクシーなモンローの姿を剥ぎ取った、生臭い人間のジーンがここにあります・・・。
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ミカドの淑女(おんな) 著者:林真理子
「男に生まれていたら大臣になっていた」とまで言われた才媛・下田歌子を主人公にした物語です。
時は明治。天皇統治下の世において愛憎渦巻く宮中で主人公が暗躍します。
日本の政治を司る男たちがストーリーの最後まで彼女に振り回されるさまは滑稽そのもの。
ページをめくるたびに彼女の高らかな笑い声が響いてくるようです。
からくり箱のような展開でストーリーが進んでいき、あっという間に読み終えてしまいます。
明治時期の絢爛豪華な王朝物語を華麗な筆致で描き上げた氏の見事な作品です。
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身ごもる女たち 著者:真野朋子
「女性」に生まれたからには、愛する男性の子供を産みたいと思うのは当然の心理です。
しかし、その愛する相手が既婚者であったらどうしますか…?
ようやく念願の仕事を手に入れた時だったらどうでしょうか…?
はたまた年齢が40代を越してしまっていたら…?
本書は子供が宿ったときに、困難な壁に直面した女性たちにまつわるストーリー描いた連作小説です。
愛し合った結果にさずかった生命。
けれど出産が難しい、という厳しい現実に負けずに揺れ惑いながらも、「身ごもる女たち」は前向きに生きていくことを決意します。
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緑の毒
著者:桐野夏生
開業したクリニックで働く内科医の川辺康之の登場から物語は始まります。
彼には同業の公立病院に勤務する美貌の妻がいました。
しかしその妻は別の男性と深い仲になっているのです。
その嫉妬から彼は精神のバランスを崩し、恐るべき犯罪に手を染めるようになってしまいました。
彼を取巻く様々な人間関係の因果が、彼を追い詰め、破滅へと導いていきます。
人間の精神世界の崩壊が克明に描写されたリアルな作品です。
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緑の我が家
著者:小野不由美
家庭の事情で一人暮らしを始めた浩志という名の男子校生が主人公のホラー小説です。
彼が住むところとなったのはハイツ・グリーンホームという名のアパートでした。
そこは入居当初から奇妙な感じがしました。
不気味な住人が多いのです。
その中の一人である和泉聡は、彼に「出て行ったほうがいい」と言いました。
そして浩志の身辺で妙な出来事が起こり始め、ついには死人が出てしまうのです。
果たして浩志の運命やいかに!?
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弥勒 著者:篠田節子
ネパールとインドの国境沿いにある”パスキム”という架空の国が舞台の物語です。
主人公は新聞社の事業員の永岡という青年です。
彼はあることがきっかけで、かつて訪れたその国に不法入国してしまいます。
しかし、そこにはかつての楽園のような面影はありませんでした。
クーデターが起こったため、地獄のような地と化してしまったのです。
そこで彼は反乱軍と思われる集団に拉致され、辺境の地に連れ去られていってしまいます。
しかもその先に待っていたのは、更なる地獄だったのです・・・。
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夢幻花 著者:東野圭吾
朝顔には幻覚作用をもたらす品種がある、ということは比較的知られている事実です。
本書もタイトルから類推されるように、朝顔から採取される大麻関係の犯罪推理小説です。
題材も物語の内容も面白く、読みやすいのでスイスイとページをめくっていくことができます。
軽快なタッチのため、ライトノベルのような感覚で最後まで読むことができる書です。
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無印おまじない物語 著者:群よう子
人気作家・群よう子氏のおなじみの”無印シリーズ”です。
タイトル通り”おまじない”を主軸にした短編ストーリーが12話収録されています。
人間が幸福を願うとき、また不幸の連鎖を断ち切りたいときに、必ずするのが”神頼み”です。
ですが本作品集に登場するのは神聖人ではなく、まがいものの呪い師ばかりです。
作者はそれを実にシニカルな視点で描いています。
登場人物たちが真剣そのものな分、全く滑稽に見えます。
本作は平成六年に刊行された単行本を文庫化した書ですが、現在(2015年)読んでも違和感がありません。
と、いうことは、実は人間って進歩していないのかもしれませんね…。
同じことを繰り返す哀れな生き物です…。
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ムッシュ・クラタ 著者:山崎豊子
”ムッシュ・クラタ”と呼ばれる男性は、主人公が新聞記者をしていたときの風変わりな上役でした。
その彼は、フランス人よりもフランス語に堪能で、フランス文化に精通しており、それはそれは深くフランスを愛していました。
そのために彼はフランスかぶれの嫌味な男性な思われ、周囲からは煙たがられてました。
けれど主人公は彼に対して、”フランスかぶれ”というだけではない”何か”を感じ取りました。
彼の死後、主人公はそのクラタ氏に関する書を描こうと、彼と関連のあった人々に取材をし始めました…。
本作はその表題作を含め、「晴着」「へんねし」「醜男」の全4篇が収録された短編集です。
「醜男」はまったく救えないストーリーです…。
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名画で読み解くイギリス王家12の物語 著者:中野京子
名画を基に英国の歴史を3部構成で綴った中野京子氏の書です。
エリザベス1世をはじめ、他の王位を継いだ者たちの怒涛極まる人生のエピソードが詳しく著述されています。
昨日の友は今日は敵になる、といった目まぐるしく変わる欧州王室で生き抜くには、柔軟な思考と先を見通す力、したたかさと強靭な精神力が必要でした。
残念ながらその能力を持ち合わせなかった者は悲惨な運命を辿っています。
王家に生まれたからと言って、幸せになれるとは限らないのですね。
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名画で読み解くハプスブルク家12の物語 著者:中野京子
マリー・アントワネットやエリザベートなど歴史上の有名人を数多く輩出した欧州の名門ハプスブルク家。
約650年に渡り欧州に君臨し続けたその王家の成り立ちから崩壊までを12枚の名画を基にして解説した書です。
歴史書なので他の氏の書である「怖い絵」や「恋に死す」と比べると、ちょっと堅苦しいかもしれません。
それでも氏の精緻な筆致は見事さは相変わらずで、わかりやすい書になっていることは間違いありません。
歴史上の人物や出来事が身近に感じられてきますよ。
ハプスブルグ家って最初は落ちこぼれ一族だったのね~。
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名画と読むイエス・キリストの物語 著者:中野京子
イエス・キリストの名は世界中の人々に知られています。
そしてその彼の生涯を記述した”聖書”は世界一のベストセラーとなっています。
しかしそれにも関らず、実際の彼についてきちんと把握している人はほとんどいません。
本書はその彼が描かれた世界的にも有名な絵画を基にして、その人物像を読み解いて描写しています。
また読むのが難解で億劫な”聖書”についても、わかりやすく説明しています。
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愛逢い月 著者:篠田節子
1991年から1994年の間に描かれた短編6作が納められた書です。
どの作品も現代社会に生きる人々が投影して描かれています。
内奥に蠢く欲に駆り立てられて異常な行為に奔った女性、時の迷路に入り込んでしまい、焦燥する恋人たち…。
そして自分ときちんと対峙しなかった夫を看護と称して監禁する妻など…。
とくに最後の作品「内助」は、現代社会に生きる夫婦のあり方が克明に描かれていて面白いです。
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もいちどあなたにあいたいな 著者:新井素子
主人公は澪湖という名の女子大生です。彼女には、自分の母代りであった和という名の叔母がいました。
その和に襲いかかった不幸な出来事から物語は始まります。
その不幸とは――彼女の生まれて間もない子供が天国へ行ってしまったこと…。
それ以来、彼女の様子がおかしい、と澪湖は感じるようになりました。
和は、確かに和なのだけれど、和ではない、という感覚がぬぐえないのです…。
自分の子供を亡くしてしまったのだから、おかしくなっても仕方ないのだけれど、何かが違うのです…。
一体、和はどうしてしまったのでしょうか…!?
驚愕の事実が待ち受ける素子氏特有のストーリーです。
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燃えさかる薪 ある復讐の物語 著者:曽野綾子
夫と二人でシンガポールに住む亜季子という名の38歳の女性が主人公です。
亜季子は、絶え間なく女性と関係を持つ夫と心が通い合わなくなったことから離婚して、日本に戻って新しい生活を始めました。
それは新しい恋人と穏やかな同棲暮らしをしながら、小さいけれど一件の店の主として働く気概のある、満ち足りた生活でした。
しかし、ある日、シンガポールで別れた夫が痴情のもつれから、殺傷沙汰になり、全身大火傷を負ったという連絡が届きます。
元夫は、顔はケロイド状になり、片耳は聞こえず、両目は失明、手も思うように動かせなくなっていました。
そんな彼はフランスにある奇跡の泉として知られる“ルルド”に行きたいと願います。
彼と懇意であった女性は、亜季子にルルドへ同行して欲しいと願い出ました。
女性の熱心さに負けて承諾した
その地には見たことのない光景が広がっていました――。
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もちろん奇妙にこわい話 著者:阿刀田高
一般の人々が実際に体験した「奇妙な出来事」を綴ったショートストーリー集。本作はシリーズ第8弾になります。
阿刀田氏が選者ということもあり、素人とは思えない筆さばきの傑作が揃っています。
どの作品もぞくぞくと背筋を震わせながら、楽しんで読むことができます。
個人的に一番怖いと思ったのは「サクラサイテ」です。まあ、読んでみてください。
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もっと塩味を!
著者:林真理子
和歌山で育った平凡な主婦がフランス料理に魅入られ、家族と故郷を捨て、その世界へと身を投じた・・・!
という、一人の女性の波乱万丈の人生を綴ったストーリーです。
美味しいものが大好きな著者なだけあって料理の描写が凄い!
物語はそっちのけでそちらの方に心が向いてしまいます(笑)。
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桃栗三年 美女三十年
著者:林真理子
人気ファッション雑誌「anan」でエッセイを連載している林真理子氏の特集本です。
旅行記、美人女優・小雪氏との対談、有名人との交友録、ファッションコレクション披露、etc、etc…。
それらが贅沢に全ページフルカラーで掲載されています。
林氏のファンならば必読の一冊です。
それにしても林氏はお肌が本当にきれいです…。
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モンスター・シークレット 著者:藤本ひとみ
政治経済が混迷している欧州の中でのフランスが舞台となった物語です。
主人公は離婚歴のある30代後半の女性新聞記者の眉村梓。
彼女には息子が一人いました。
彼女は、その息子を、フランスに在住している親友の夏緒のすすめにより、パリの寄宿学校へ入学させました。
ストーリーは、梓が息子に会いにパリに向かうところから始まります。
パリに到着した梓を待ち受けていたものは、息子でもなく、親友でもなく、恐るべき事件だったのです…。
たったの一文の便りが歴史を揺るがす大きな事件へと発展していく、ハラハラドキドキの長編ミステリー小説です。
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