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怪談 著者:小池真理子
7篇の短編作品が収録された小池真理子氏の短編集です。
タイトルが「怪談」なので、全ての作品に幽霊や異形のモノが登場します。
しかし恨みある生きている人間を脅かすというホラー的作品ではありません。
作品から伝わってくるのは「怖さ」ではなく「切なさ」や「哀しさ」です。
著者はあとがき「死の喪失感や絶望感はやがて優しいぬくもりを帯びたものに変わる」と述べています。
そしてその通り、それが作品全体に著されています。
死者との想いが交錯する哀愁感漂う作品群です。
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開幕ベルは華やかに 著者:有吉佐和子
突然の作者降板により、脚本の依頼をされた小野寺ハル。
開園まで1ヶ月もなかったのですが、彼女は自分の元夫を演出家にする条件で仕事を引き受けました。
開幕には間に合ったものの、大幅な内容のカットや主演女優の勝手な科白回し等で舞台は波乱万丈となります。
さらには公演中に「2億円用意しないと主演女優を殺す」という脅迫電話がかかってきて、関係者全員は戦慄しました。
果たして舞台は一体どうなるのでしょうか――!?
愛憎渦巻く演劇界の裏舞台や芸術に魅入られた人々の心理がよく描かれた長編小説です。
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画家とモデル 宿命の出会い 著者:中野京子
18人の画家とモデルの関係性、そして描かれた作品の画が、丁寧な説明とともに掲載されています。 その作品らは画家とモデルの化学反応によって出来たものと言えましょう。 画家にとってのモデル、またモデルにとっての画家はまさしく「運命の人」です。 それは連れ合いとなった人よりも深い絆が結ばれていたかもしれません。 本書はまさしくその「秘」の部分に触れた書です。
本書を読んでいると画家とモデルが目の前にいるような生々しい感覚に見舞われました。
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鏡の背面 著者:篠田節子
心に傷を負い、社会的な生活を営めなくなった女性たちが暮らすシェルターが落雷による火災にて消滅してしまったところから物語は始まります。
その火災によってシェルターの統括責任者であった「小野尚子」が逃げ遅れた母子を助けるため、犠牲死となりました。
「小野尚子」は「日本のマザーテレサ」と称されたほどの人格者でした。
けれどシェルターの焼け跡から発見された焼死体は「小野尚子」ではない、という事実が警察から告げられました。
遺体はかつて殺人罪の容疑をかけられたことのある「半田明美」という名の女性だというのです。
当然、シェルター内の女性たちは驚愕します。そして懇意にしていた女性記者とともに「半田明美」なる人物の調査を始めていきました。
次々と明かされていく「半田明美」の恐るべき過去…!
彼女は金のありそうな男性に近づいてはそれを奪い、そして殺し続けてきた殺人鬼だったのです!
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隠された刻 著者:坂東眞砂子
坂東眞砂子さんの死生観、時の概念が丹念に織り込まれた長編ミステリー小説です。
舞台となるのはニュージーランド沖に浮かぶ小さな架空の島であるイリアキ島。
この島にはサリタと呼ばれる砂絵が伝統として残されており、その伝承されたサリタの中に、世界の未来を予言しているものがあると発表した学者がいました。
一体何を予見しているのか、それを解明するために、日本からロケハンがやってきます。といっても一人の中年男性だけですが。
調査によると、イリアキ島の2キロ先に浮かぶ無人島に謎を解く鍵があるらしいことがわかりました。
イリアキ島に住む部族の酋長の案内で、ロケハン男性とホテルのコーディネーターらを含めた一行は、その島へと向かいます。
そして島内にある洞窟に入り込み探索しますが、結局は何も見つけられないまま、イリアキへ戻ることになりました。
ですがその翌日、なんとロケハンの男性が死亡してしまったのです!
彼は島に伝わる”悪神”に憑りつかれてしまったのでしょうか…?
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影恋 著者:菊地秀行
狛江駅にある木立の密集地帯の奥に佇む竹林に囲まれた古い平屋の家。
未亡人・水上涼子はそこでひっそりと一人で静かに暮らしていました。
ですが、そこには何と死んだ彼女の夫の霊が棲みついていたのです。
涼子に思いを寄せている達樹はそのことを知り、彼女を霊の呪縛から解き離そうと決意します。
生者と死者との間で、一人の女性を巡って戦いが始まりました。
菊地氏の持つ独特の死後の世界観を著した幻想的な長編小説です。
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和宮様御留 著者:有吉佐和子
江戸末期、夷狄の侵略から自国を守るため、幕府と朝廷との婚姻による一体化が図られました。
そして現天皇の妹・和宮は将軍家茂の元へ嫁ぐことになりました。
しかし和宮は片足がびっこの不具者であったため、彼女の母親・観行院は笑い物になるのを恐れました。
そして天涯孤独の娘フキを和宮の身代わりにします。
しかし厳格な宮廷の作法、粗末な食事、冷酷な女房たちの中での生活が過酷すぎたため、フキは発狂してしまいます。
慌てた周囲は急いでまた身代わりの娘を探しますが、その娘も左手のない不具者でした…。
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片思い 著者:東野圭吾
帝都大ラグビー部は卒業しても一年に一度、会合していました。
十年目のとき、マネージャーだった美月がなんと男になって現れました。
それだけでも驚きなのに、彼女は殺人を犯してしまったというのです。
QBであった哲朗ともう一人の元マネージャーで妻の理沙子は彼女を匿います。
しかしある日美月は出て行ってしまうのです。
哲朗たちは彼女を追いかけますが、そうするうちにだんだん謎が増えていきました。
そしてこれが単純な殺人事件ではないことに気づくのです…。
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悲しみの歌 著者:遠藤周作
戦後三十年――、日本は目覚ましい勢いで復興し、高度経済成長を遂げました。
それでも僅かに戦後を引きずる影が、様々な人間が混在する街・新宿で蠢いていました。
勝呂医院もそのうちの一つ――。
院長の勝呂は戦中において、捕虜の生体実験を行った戦犯でした。
密やかに医院を開院していたのですが、ある日一人の新聞記者に嗅ぎつけられてしまいます。
そして彼の過去が暴露されてしまって――!?
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金の成る木 著者:シドニィ・シェルダン
大ベストセラー作家シドニィ・シェルダン氏の著作です。
翻訳はもちろんご存知アカデミー出版社の天馬龍行氏。
物語は大富豪サミュエル・ストーンが死亡し、その遺産について彼が残した遺言書が読まれるところから始まります。
彼が残した遺産ははなんと1億ドル!!人殺しをしてでも手に入れたい金額です。
その1億ドルをめぐって、故人に関連した人々が凄まじきバトルを開始しました…!!
莫大な遺産は果たして一体誰の手に…!?
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神の汚れた手(上) 著者:曽野綾子
40代前半の野辺地貞治という名の産婦人科医が主人公の長編小説です。
彼は横須賀の地で開院していました。
産婦人科医といっても、お産の仕事だけではありません。
嫌な中絶手術もします。それが後を絶たないのです。
その背後には様々な人間関係のしがらみがあります。
彼はそれに取り込まれないようにしながらも、自然関わってしまう日々を送っていました…。
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神の汚れた手(下) 著者:曽野綾子
中絶手術が後を絶たないのに、子供がどうしても欲しくても出来ない夫婦がいます。
そして赤ん坊が生まれたのに、欲しくないと言って、養子に出す人もいます。
また障害を持って誕生した子もいます。
人は何のために誕生してくるのか、そしていきるのか。
それを真正面から捉えた曽野綾子氏の傑作長編小説です。
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仮縫 著者:有吉佐和子
清家隆子は戸田洋裁学院に通う女子学生でした。
ある日、日本でただ一つしかないオートクチュールの店主にスカウトされ、そこで働くようになりました。
彼女は持ち前の才覚でめきめき技術を上達させていき、ついに店主直属のアシスタントにまでなります。
そして彼女は店を自分の物にするという野心を持つようになりました。
そのチャンスは意外にも早くやって来ました。
店主が半年間パリへ行くことになり、その間の店の采配は隆子にまかせられることになったのです。
隆子は思うまま店を切り盛りしていきますが、それは実は大きな落とし穴だったのです…。
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華麗なる古都と古城を訪ねて 著者:藤本ひとみ
著者の好きな欧州の11の古都と古城を写真付で紹介した歴史紀行エッセイです。
都や城が出来た背景やその変遷、そしてその土地柄が実にわかりやく説明されています。
読んでいるだけで、その土地を旅しているような、またタイムスリップしているような気にさえなります。
歴史にそれほど興味をもてない方でも、楽しんで読むことができる書だと思います。
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彼の生きかた 著者:遠藤周作
生まれながら吃音だった福本一平は、気が弱く、うまく人間社会に溶け込むことのできない少年でした。
自然、彼は動物を愛するようになります。
成長し、私立大学を卒業した彼は、研究所で日本猿の調査の仕事に就きました。
しかし猿の生息する山にホテルが建設されることになり、彼は研究所を退所することを余儀なくされます。
新たな場所で、再び猿の研究をすることになりますが、そこでも近代日本の資本の魔の手が伸びてきました…
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観光の哀しみ 著者:酒井順子
辛口エッセイスト酒井順子氏が「旅」をテーマに「旅に関する心理(あるいは真理?)」について語ったエッセイ。
各観光地の紹介もあって楽しんで読めます。
「旅行をしている時、ふとした瞬間にものすごく哀しい気分に襲われることはないでしょうか」
「観光は哀しみに満ちています」
うん、確かに。でも、それは何故!?
その答えは本書にあります・・・。
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飢餓海峡(上) 著者:水上勉
昭和22年9月20日。函館港で、海難史上空前の大惨事と言われる船舶沈没事故が起こったところから物語は始まります。
この事故で大多数の死者が出ましたが、その中に身元不明の二体の遺体がありました。
熱意ある警察官の調査により、その二人は網走刑務所から出所した前科者であることがわかりました。
そして恐ろしいことに、この二人は岩幌町にある質屋に入り込んで、強盗殺人を犯し、放火をして逃げてきた途中だったのです。
更に調べると、この二人とともに行動をしていた男がもう一人いたことが判明しました。その男の名は犬飼多吉。
警察は逃げた彼を追って、津軽海峡を渡りますが、なかなか足取りはつかめません。一体、犬飼は何処に――!?
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飢餓海峡(下) 著者:水上勉
唯一犬飼のことを知るのは、青森で娼婦をしていた杉戸八重。彼女は鶴見にいる樽見が、自分を救ってくれた犬飼だと確信します。そして彼の元へ訪れるのですが、真実を暴かれるのを恐れた樽見に、心中事件にみせかけてなんと殺害されてしまうのです。
しかし警察は、これは心中事件ではなく、樽見が犯人ではないかという疑惑を持ちました。
そして捜査していくうちに、浮かび上がってくる樽見の過去。
それにより警察は、10年前に北海道で起きた残虐な事件の犯人・犬飼なる人物ではないかと嫌疑を持ち始めたのです。
執拗なまでの捜査により、次第に明らかにされていく樽見の犬飼としての足跡――。
そしてすべての真実が暴かれたとき、樽見は――?
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危険なビーナス 著者:東野圭吾
主人公は四十路頃の獣医をしている独身男性です。その男性にはもう何年も連絡を取っていない異父弟が一人いました。
ある日、その男性の下に異父弟の妻だと名乗るとても魅力的な女性が現れます。
女性は、新婚間もなくの夫が失踪してしまったので、捜し出すのに協力してほしいと告げました。
折しも、自分にとっては義父、異父弟にとっては実父の資産家である男性が末期癌によって余命いくばくもない状態に陥っており、親族間では正当な実子である異父弟に相当の財産が相続されることが予期されていました。
異父弟はその醜い相続争いに巻き込まれた可能性があるのではないか、と主人公と女性は疑いを持ち、調査を始めました。
犯罪の匂いをぷんぷんさせながら物語は展開していきます…。
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Kiss 著者:小池真理子
直木賞受賞作家・小池真理子氏の短編集です。
9編の短編が収録されています。
すべての作品に「接吻」のシーンが描写されています。
流麗な文体で描かれた深みのある作品群で、巨匠グスタフ・クリムトの名作「接吻」を彷彿させる1冊です。
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鬼談百景 著者:小野不由美
99話のショートショート会談集です。
1話3P以内ですが、どれも深みがあり、リアリティがあってとても怖いです。
夜、眠れなくなりそう…。
あと黄昏時の独り歩きも出来なくなりそうです。
挿入話「ぶらんこ」には心底ぞっとします。
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鬼怒川 著者:有吉佐和子
村で一番の機織上手であったチヨは、16歳で絹村に嫁入りしました。
嫁ぎ先は裕福でしたが、夫となる相手は日露戦争の帰還者で心に傷を受けていました。
チヨは機織りに精をだしますが、肝心の夫は働きもせず、日がな一日ぼーっとしているだけでした。
そんなある日、夫の戦友である男がチヨの家にやってきました。
その男はやがて風邪をこじらせて死んでしまいますが、夫はその彼の荷物の中からあるモノを見つけ出しました。
その日から夫は奇妙な行動を取るようになり…!?
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紀ノ川 著者:有吉佐和子
明治半ば過ぎ、祖母に溺愛されて育った素封家の娘・花は紀ノ川を下り、六十谷の村長の家へ嫁ぎました。
美貌で学もあり、嗜み深い花は、婚家にすぐになじみ、家を采配して繁栄させていきました。
しかし長女の文緒は勉強は出来たもののお転婆で野放図な娘に育ってしまいます。
が、なんとか婚姻に辿り着き、子に恵まれました。
その後、時代は太平洋戦争に突入し、花たちの上にも暗雲が垂れこめてきます。
けれど老いても不遇の時代に見舞われても、花は家長としての矜持は決して失いませんでした。
「家」とは何か…?を考えさせられる、読み応えのある著者の代表作です。
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君も雛罌粟われも雛罌粟 上巻 著者:渡辺淳一
実に波乱万丈なる与謝野夫妻の生涯を綴った書です。
師であった寛と恋仲になり、押しかけ女房のようにして晶子は彼と結婚しました。
しかし寛には常に多数の女性が取り巻いていました。
それだけでも大きな苦悩であるのに、結婚前は気付かなかった寛の傲慢不遜かつ狭心な性格が浮き彫りにされてきて、家庭生活や仕事上に差し障りが生じてきます。
晶子は師であった寛をはるかに超えて当代一流の歌人となりますが、驕慢な夫はそれが許せなく、癇癪を起こして周囲に当たり散らすのです。
それでも晶子は歌を詠みながら、夫を支え続けました…。
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君も雛罌粟われも雛罌粟 下巻 著者:渡辺淳一
タイトルの「君も雛罌粟われも雛罌粟」はパリへと旅立った寛を追いかけてきた晶子が、夫婦二人で丘を散策していたときに詠んだ歌です。
与謝野晶子は明治11年に大阪の堺問屋に生まれ、歌の師であった5つ年上の寛と22歳のときに結婚しました。
その生涯において5万首の歌を残した他、古典の現代語訳や評論、小説、エッセイ等多数の書を著し、さらには学校の創設(文化学院)や講師としても尽力しました。
驚嘆すべきは、それらを12人の子供を産み育てながら(うち2人は生後間もなく死亡)成し遂げたことです。
そして夫・寛とは時に殺傷沙汰になるほどの愛憎劇を繰り広げても、最後まで添い遂げました。
相克の人生を辿ってきた夫婦も「君も雛罌粟われも雛罌粟」というように最後は同化していきます。
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逆光のメディチ 著者:藤本ひとみ
15世紀のイタリアが舞台となって歴史ロマンストーリーです。
当時イタリアは統一されておらず、13の小国に分かれておりました。
中でも最も力を持っていたのは名門メディチ家です。
ストーリーはメディチ家の当主となるために、二人の男性が権力闘争するという展開ですすんでいきます。
その二人の男性とはロレンツィオとレオーネ。神の采配が働くのは果たしてどちらでしょうか?
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キャット・ボーイ(上) 著者:図子慧
主人公の名は鶴見解(ツルミサトル)。
二十歳を少し過ぎた美貌の青年です。
彼には彼が”キィ”と呼ぶ不思議な弟がいました。
人間とは呼べない存在です。
”キィ”は猫の瞳と爪を持った額に星がある銀色の獣でした。
人語を操れるのか、解するのかも不明です。
鶴見はこの弟のために、表世界で生きることはできず、世間から隠れるようにしてその日暮らしをしていました。
いつかこの溝鼠のような生活から解放されたいと願い、そしてそのチャンスは巡ってきました。
大企業の社長から自分の下へ来い、と誘われたのです。
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キャット・ボーイ(下) 著者:図子慧
鶴見の両親は彼が小学生の時に亡くなっています。
強盗に押入られたとの見解でしたが、事実は父親が強盗を装って家に入り母親を殺そうとしたらしいのです。
母親はそのとき妊娠をしていおり(つまりキィを身ごもっていた)、彼女は出産後亡くなります。
そして弟も死産だったのですが、なんと彼は棺桶の中で息を吹き返したのです。
成長していくと弟キィは恐ろしいことを始めました。
彼は外見通り獣でした。人間を襲って生き血をすするのです。
それなのに何故か鶴見はキィから離れられないのです。
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旧約聖書を知っていますか 著者:阿刀田高
誰もが知っているけど、でも実はほとんどの人がキチンと内容を知らない書、「聖書」。
堅苦しいイメージがある上に難解な文章で書かれていればそれも当然のこと。
その「聖書」の近寄りがたさを払拭し、読みやすくしてくれるのがこの書です。
読者に理解しやすい順序で、12話にわたって旧約聖書のストーリーを解説しています。
この書を読めば、「聖書」に興味を持つこと間違いなし!です。
かめがかむほど味が出る「聖書」をぜひ楽しんで読めるようになってください。
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極北の光 著者:曽野綾子
小波光子は父親がわからない娘でした。
実の海の母親には2歳のときに捨てられてしまい、戦争未亡人に引き取られて育ちます。
彼女は成長すると様々な異性と関係を持ちますが、誰とも結ばれることはありませんでした。
相手が死病を患っていたり、結婚していたりなどして…。
そんな彼女は、あるとき一人の花火師と知り合い、アラスカへ行こうと話を持ちかけられます…。
一人の女性の生々流転とした半生の長編小説です。
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ぎりぎりの女たち 著者:真野朋子
7篇の短編が収録された短編集です。
各作品の主人公は、あるタイムリミットを向かえた「ぎりぎりの女たち」です。
そのタイムリミットとは年齢のことですが、それは出産、仕事、男性経験とさまざまに内容は異なります。
女性たちは今を逃したら次はない、と思い込み、自分のリミットに間に合わせようとそれはもう必死で努力します。
果たして彼女たちは、”リミット”前に願いを叶えることができるのでしょうか?
結果は…自分で自分を制限することはない、と著者は語っているような気がします…。
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綺麗な生活 著者:林真理子
富裕な家で暮らす30歳の女性・港子が主人公です。彼女は美容外科のレセプショニスト。
恋人が今のところ二人います。でも将来はないと思っている模様・・・。
生活に不自由はないけれど、将来どうなるかわからないといったところです。
そんなとき彼女は芸大に通う美しい男性、泰生と出会い・・・!?
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銀婚式 著者:篠田節子
国立大学を卒業し、大手の証券会社に入社した高澤。
その後も初恋の女性と結婚し、憧れの海外赴任も決まり、まさにエリート街道真っ直な人生を送っていました。
今後もそれが続く…と思われたのですが、どんな人間も順風満帆にはいきません。
まさか、と思われた妻との離婚、そして会社の倒産、と次々に不幸が襲いかかってきました。
目まぐるしく流転する現代社会を生き抜いていこうとする一人の男性の生涯をリアルに描いた長編作品です。
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蔵の中 著者:小池真理子
事故で半身不随になってしまった夫を持つ妻・鮎子という名の女性が主人公です。
彼女は自分を支えてくれた夫の親友の新吾に惹かれるようになり、そして二人はのっぴきならぬ仲になってしまいます。
ある日、そんな二人が逢瀬している場面を、以前で雇っていた手伝人の喜美子に見つけられてしまいます。
喜美子は口止め料を払うように、鮎子を脅し始めますが・・・!?
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黒い家 著者:貴志祐介
第4回日本ホラー小説大賞受賞作品です。さすが”ホラー”の”大賞”を受賞しただけあって、とっても”怖い”お話となっています。
しかも現実に即したストーリーなので、その”恐さ”には、リアリティがあるのです。
主人公は生命保険会社勤務する好青年。物語はその主人公が、顧客から自宅に呼び寄せられたところから始まります。
それは恐るべき悪夢の幕開けでした…。彼は、現代社会の歪みにより生まれた”醜悪な怪物”と直面してしまうのです…。
実は貴方の隣にいるのは、恐るべきモンスター…。日常が怖くなってしまう、そんな”恐怖”。
骨の髄までたっぷり味わってください…。
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グロテスク(上) 著者:桐野夏生
実際に起きた「東京電力OL殺人事件」をモデルにした長編ストーリーです。
物語は二人の女性の死から始まります。一人は物語の語り手である「わたし」の妹、もう一人は事件のモデルになった「和恵」。
二人は夜の街に立つ体を売る娼婦だったのです・・・。
社会差別、人民差別、貧富差別、階級差別、学歴差別、男女差別、容姿差別・・・。
この世におけるすべての「差別」がこの書に詰まっています。内容はタイトル通り「グロテスク」。
凄い本です。何が「凄い」のか、それは読んでみればわかります。
かなりページ数は多いですが、一人称で書かれているため、読み進めるのは平易です。失意に打ちのめされるラストにはお覚悟を。
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グロテスク(下) 著者:桐野夏生 |
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携帯の無い青春 著者:酒井順子
1980年代に青春を送った著者がその時代を振り返って当時の世情を綴ったエッセイ集。
タイトル通りこのときはまだ携帯電話は普及していませんでした。
だから男の子からの連絡はどうしていたかというと・・・。答えは著書にあります。
今の社会になるまでは実はこんな過程があった・・・!ということが改めてわかります。
当時を知る人は読めばきっと「懐かしさ」がこみ上げてくるはず・・・。
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結婚 著者:林真理子
著者が過去描いた6作の短編が収められています。テーマは「結婚」。
「一緒続く幸せなどありえない。結婚によって一生幸せになろうと思わない」とあとがきには書いてあります。
その通り、6篇の作品はどれも「こんなハズじゃなかった」という結婚生活が展開しています。
「結婚」によって幸福ではなく「不幸」になってしまった人々の生活観が、リアルに感じられる読み応えのある一冊です。
「結婚」してる人も、していない人も楽しんで読める短編集です。
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結婚しても、しなくても 著者:岸本葉子
人気エッセイスト岸本葉子氏が40歳間近になったときに綴ったエッセイ集です。
1タイトルおよそ作文用紙2枚程度のエッセイで、何気ない日常生活のことが描かれています。
気軽にサクサク読めますが、「あ、そうなんだ!」と見落としてしまっている大切なことも発見できます。
「東大卒の有名人でも普通の人なのねー」となにか親近感を持ってしまう内容です。
特に30代後半の人が読んだらシンパシーを持つのではないでしょうか・・・?
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結婚不成立(上) 著者:シドニィ・シェルダン
たった1通の書簡が夫婦の人生を変えてしまった…!
書簡にはなんと「あなたたちの結婚は無効でした」という衝撃の事実が書かれていました。
真実を知った夫婦たちは、果たして今まで通りの生活を送ることができるのでしょうか…?
本書はこの「結婚不成立」の手紙を元にして、さまざまな夫婦たちの人生のストーリーを綴っています。
上巻は8章までの収録されています。
8組の夫婦がこの手紙が届いた後のドタバタ劇を見せてくれます。
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結婚不成立(下) 著者:シドニィ・シェルダン
上巻に続いて7つの短編が収録されています。はじまりは8章の続きからです。
夫婦生活を始めてン年たったある日、届いたたった一通の手紙が全てを白紙にしてしまった!
決して他人事ではない夫婦生活の物語がここに描かれています。
今一度あなたも結婚がきちんと成立しているかどうか確認してみては・・・?
ついでに自分たちの今の夫婦生活を振り返ってみるのもいいかも・・・。
どの短編も面白く、身近に感じられますよ。
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源氏物語を知っていますか 著者:阿刀田高
「源氏物語」は、千年も昔、紫式部という偉大な女流作家が著した王朝文学です。
それを阿刀田氏がアトーダ流に解釈して紹介したのが本書です。
源氏物語本編自体が長いので、ページ数が相当あります。
しかし、分かりやすい平易な文章で描かれているため、最後まであっという間に読んでしまいます。
特に人物描写は見事。
「源氏物語」を読んでいても読んでいなくとも楽しめる一冊です。
まあ、読んでいた方が楽しめると思いますが…。
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幻夜 著者:東野圭吾
阪神大震災時、金の無心に来た叔父を雅也は殴り殺してしまいます。
その場面を一人の女性に目撃されていたところから彼の人生が転変します。
雅也と女性は関西を離れ、東京に向かいました。
女性は雅也を利用しながら、周囲の人間を手玉にとって、のし上がっていきます。
女性は一体何者なのでしょうか?
彼女の悪女ぶりにはただただ息をのむばかりです。
ノンストップの面白さの東野圭吾氏の傑作長編小説です。
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恋する力 著者:藤本ひとみ
「果たして私はこのままでいいのか!?」
いつまでも現実を見ない恋人とかわりばえのしない仕事に追われる毎日をおくる主人公。
ある日年上の魅惑的な男性と知り合ってから、彼女の人生が思わぬ方向に進んでいくことになり・・・。
現代女性の生き方を投影した作品です。
決めるのはいつだって自分。「恋」の持つ力を教えてくれます。
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香華 著者:有吉佐和子
主人公は明治末に和歌山の旧家に生まれた須永朋子とういう名の女性です。
彼女は、当時の女性としての道徳観念をまったく持ち合わせてない美貌の母親を持ったため、数奇な運命を辿ります。
半玉から芸者、そして伯爵の愛妾と、生々流転の人生を送ります。
しかし生来持ち合わせた気丈夫さと才覚により、彼女は築地に宿屋を構え、そこの女将になり取り仕切るようになります。
それに反して母親は、朋子に生活の面倒を見てもらいながらも、自身の欲望の赴くまま奔放に生きていきます。
呆れながらも朋子はなぜか母親を突き放すことができません。
不思議な母と娘の繋がりが物語の終幕まで続きます…。
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皇后ジョゼフィーヌの恋 著者:藤本ひとみ
ナポレオンが熱愛した6歳年上の官能的な妻ジョゼフィーヌの物語です。
本書はナポレオンと離婚するまでのストーリが綴られています。
波乱万丈のフランス革命時代を持ち前の「したたかさ」で生き抜いたジョゼフィーヌ。
誰よりも生きることを渇望し、そして自分に正直だった女性です。
まあ「皇后」にはふさわしい女性とはいえませんでしたけど・・・。
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恍惚の人 著者:有吉佐和子
ある日、平凡な主婦であった昭子の日常が一変しました。
厳格な舅が突然奇怪な言動を発するようになってしまったのです。
それは老いによる痴呆のせいでした。
舅の奇行により彼から目が離せなくなり、それまでの生活のバランスが崩れます。
家事・育児・仕事が通常にこなせなくなってしまったのです。
老人介護の大変さ、それに対する国の支援不足がよくわかる、リアルに描写された高齢化社会の現実を直視した作品です。
今から年取ったときのことを考えておくことが必要だということがよくわかる書です。
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皇帝ナポレオン(上) 著者:藤本ひとみ
タイトル通り、ナポレオンの生涯を描いた長編小説です。
しかし、物語は彼の誕生からではなく、彼がエルバ島へ流罪にされ、そこから脱出したところから始まります。
ナポレオンが再び冠位を手にするためにパリに向かっていることで、国中が混乱し出しました。
新聞記者のモンデールは、そのナポレオンの明確な実像を掴んで、記事にしようとします。
彼は”テルミドールの聖母”と称されたマダム・タリアンの元を訪れました。
そして彼女からナポレオンに近しかった人物たちを次々紹介され、彼の情報を聞き出していきます。
上巻は、ナポレオンが首都パリに凱旋するまでが描かれています。
モンデールは、その彼の生涯における唯一の汚点とされる事件まで辿り着きますが…。
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皇帝ナポレオン(下) 著者:藤本ひとみ
下巻はナポレオンがパリに戻り、再び政権を手中にした時から始まります。
彼の過去の出来事を、マダム・タリアン及びその知人たちから取材したモンデールは、次々と記事にして発表していきます。
主要部分を占めたのは、ナポレオンの派手な女性関係と権力を失墜される大きな原因となったモスクワ戦役です。
そして物語の終章において、モンデールは直接ナポレオンと対峙し、ついには行動をも共にするようになります。
果たして彼が迫ったナポレオンの実在像はいかなるものだったのでしょうか…!?
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皇帝を惑わせた女たち 著者:藤本ひとみ
「英雄色を好む」のは古今東西においての共通項。
世界史上において最も有名な人物の一人であるナポレオンもまたそうした一人でした。
彼は数多くの女性と浮名を流しました。
本書ではその中でも彼の心(あるいは人生)に大きな影響を与えた女性たちが紹介されています。
熱烈に愛した6つ年上の妻ジョゼフィーヌをはじめ8人の女性が登場します。
面白いのは全員タイプが違うことです。
女性が違えば当然恋の仕様も違います。
この辺り光源氏を彷彿させますねー。
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皇妃エリザベート 著者:藤本ひとみ
ハプスブルク家最後の皇女エリザベートの生涯を綴った長編作品です。
著者の登場人物の心理描写がとても巧みなので、ページを開くとすぐに物語の中へと引き込まれてしまいます。
波乱含みの彼女の生涯の中で特に際立っていたのは、やはり姑ゾフィとの対立でしょう。
女同士の凄まじいバトルシーンが展開されます。
それにしてもシシィの美に対する鬼のような執念にはぞっとしました。
でもまた、可哀想にも思えました・・・。
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黒祠の島 著者:小野不由美
主人公は式部という名の調査会社の男性です。
その彼の仕事上のパートナーともいうべき女性作家・葛木が自分のマンションの鍵を預けたまま連絡が取れなくなってしまいました。
式部は彼女の安否を確かめるために、彼女の故郷である九州の西沖に浮かぶ”夜叉島”と呼ばれる島へ向かいました。
その少数の人間が住む小さな島では、何故か葛木の存在に対し、皆一様に曖昧に誤魔化します。
捜査を続けていくうちに式部は恐ろしい事件に出くわしてしまいます。
何と女性が島の神社内で、裸で木にはりつけられて切り刻まれて殺害されたのです。
顔も潰されており、誰だか判明しませんが、どうやらこの死体が葛木のようなのです。果たして真実は――!?
古来から続く闇の因習が未だ現代にはびこる読み応えのあるホラーサスペンス長編です。
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午後の音楽 著者:小池真理子
自分の妻の姉との不義の恋を綴ったストーリー。
すべては二人のメールのやりとりのみで描かれています。
肉体は一度も結ばれなかったけれど、彼らは誰よりも強い絆を創り上げ、そしてお互いが「永遠の人」となったのです・・・。
小池氏特有の刹那さがめいいっぱい書き込まれた作品です。
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怖い絵 著者:中野京子
西洋文化に造詣の深い著者が古今東西関わらずピックアップした「怖い絵」20点を「何故怖いか」を説明した書です。
作品の解説はもちろんのこと、画家についての紹介やその背景の歴史も詳しくわかりやすく書かれています。
美術愛好家はもちろんのこと歴史好きな方にもおすすめです。
氏の津波のように押し寄せるうなる筆致にはただただ圧巻です。
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怖い絵 2 著者:中野京子
上記本の続編です。こちらもまた20点の作品がピックアップされ解説されています。
前回と同様ボリュームの厚い筆致で、その「怖い」絵画世界へと引きづりこませてくれます。
ルーベンスの絵画作品を紹介した氏の最後の一文はほんとに「怖い」です・・・。
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「怖い絵」で人間を読む 著者:中野京子
19世紀以前の絵画の鑑賞法は、現代の「見て感じる」とは異なり、「読む」ことでした。
本書は全8章に渡って、、33点の名画が著者によって「読み解かれて」います。
作品内に秘められた「怖さ」に視点をあてているだけあって、各章のタイトルはかなり凄烈です。
「運命」「呪縛」「憎悪」「狂気」「喪失」「憤怒」「凌辱」「救済」と…。
絵画を見る目に新たな光が宿る優れた教養書です。
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