「麗しのロザマンド」

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

1916年制作 個人

 

 

 

ヘンリー2世は、初代のイングランド王でした。

1154年から89年にかけて王位に就き、イングランドを安定させた後、勢力拡大を図った名君です。

そのヘンリー2世には、ロザマンド・クリフォードという名の愛妾がいました。

王は彼女を周囲に迷路を廻らせた館に住まわせていました。

画面にはその館内にいるロザマンドの姿が描かれています。

彼女は手を組み、祈るようなポーズで、窓の外を見ています。

王の来訪を待っているのでしょうか。

その彼女の背後には、恐ろしい形相をした人物がカーテンの隙間から顔を覗かせています。

ロザマンドは全く気付いていません。

目をぎょろりとさせてロザマンドを見つめているその人物は、王の正妻エレノアです。

エレノアは絹糸を使って、うまく迷路を通り抜け、ロザマンドの元へ辿り着いたのです。

この後、ロザマンドは、王妃エレノアに殺されてしまいます。

画面はその一歩手前の場面を描いています。

その死を目前にしたロザマンドの純粋で可憐な容貌といったらどうでしょうか。

王妃が不器量で恐ろしく感じられる分、彼女のはかな気な命の愛らしさが際立っています。

殺害されてしまったロザマンドは、女子修道院に埋葬されました。

そして王妃エレノアの憎しみの犠牲者として尊敬を集めます。

 

王妃は糸を手に入れて

むかった先は、あの館

かの麗しのロザマンド

天使のごとく住みたもう

 

王妃は見つめる

見目麗しき顔容に

わが目を疑う、これほどの

ゆかしき佳人があろうとは

 


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