「オフィーリア」

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

1894年制作 個人

 

 

 

「オフィーリア」は、シェイクスピアの作品「ハムレット」に登場するヒロインです。

彼女は自分の父親を恋人であるハムレットに殺されてしまった上、捨てられて、狂喜に陥り溺死してしまいます。

この悲劇の女性のエピソードは、多くの画家たちに好まれて、題材として描かれてきました。

ウォーターハウスもそのうちの一人です。

彼は生涯において、三作「オフィーリア」を描きました。

本作品はそのうちの二作目であり、彼の代表作品ともなっています。

画面では、オフィーリアが川に落ち、溺死する一歩手前の姿が描かれています。

川面に突き出した柳の木の幹の上に腰かけ、横向きの姿を観者に見せています。

その素晴らしく美しいこと美しいこと。

白いドレスを纏ったオフィーリアは、長い亜麻色の髪を払うようなしぐさをしています。

その髪には唇と同色の赤い花が飾られており、膝の上には自身で摘んだ野花が置いてあります。

背景の水面には、蓮の花がひしめくように浮いており、まるでオフィーリアと同化しているかのようです。

(実際、彼女はこの後、水の中へ落ち、蓮の葉と一体化するのですが…)

それらのコントラストの見事さといったらどうでしょうか。

白・赤・緑と、完璧です。

背景が薄暗い分、オフィーリアの存在が余計際立って見えます。

この世の者とは思えぬ美しさではありませんか。

まるで水面から姿を現した水妖オンディーヌのようです。

幻想的な美が画面に広がっています。

そしてオフィーリアの表情をご覧ください。

陶然としています。

半ば開かれた瞳は、すでにこの世の情景は写してはいないのでしょう。

愛する人に裏切られ、黄泉路へと旅だったオフィーリア。

その彼女が最後に想い浮かべたのは、やはりハムレットのことだったのでしょうか――?

 


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