「真珠の首飾りの女」

ヨハネス・フェルメール

1662-65年頃制作 ベルリン国立美術館所蔵

 

 

 

 

真珠は古来から「海の宝石」として珍重され、また聖母の純潔の象徴ともされてきました。

フェルメールが生存した17世紀には、この真珠が大変流行します。

画面の中には一人の女性が、その真珠の首飾りを首に巻いて、それを結ぶためのリボンを両手でつまんでます。

それも恍惚とした表情で。

女性は観者に横顔を見せています。

視点は前方に向き、ただひたすらその方向だけを見ています。

彼女の立つ前方には、黄色いカーテンがステンドガラスに心持ちかぶさっており、その横には小さな小さな鏡があります。

女性は鏡に写った自分を見て、うっとりしているのでしょうか。

それにしても鏡は姿を写し出すには小さすぎますし、そのかかっている場所もカーテンの影のせいで暗くあります。

女性は一点だけを見つめすえ、周囲の音が全く聞こえていない様子です。

女性は一体何を見つめ、何を思っているのでしょうか。

永遠の謎です。

フェルメールは高価なラピスラズリを多用した青の画家として有名ですが、「黄色」も多く使用しました。

本作品に描かれている女性の纏っている上衣も暖かい黄色で描かれています。

現存するフェルメールの作品は37点ですが、そのうち6点もこの黄色の上着を描いています。

この黄色い上着はオコジョの毛皮が襟などにあしらわれた最高級品であり、王侯貴族にも愛された高額品でした。

フェルメールはこの上着を死ぬまで手元に置いておいたそうです。

それにしても6点もの絵の中に登場させるとは、よほどのお気に入り…といいましょうか、ちょっと描きすぎのような気がします。

子だくさんで生活が逼迫していたフェルメールには、小道具をそんなに購入するお金がなかったのかもしれないと、つい勘ぐってしまいます。

 

 


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