「真珠の耳飾りの少女」

ヨハネス・フェルメール

1665-66年制作 マウリッツハウス美術館所蔵

 

 

 

  

思わず息を呑みこんで、見入ってしまうほどの美しい少女の姿があります。

上半身のみの姿ですが、非常に生々しく、少女の吐息や肌の温かみが伝わってきそうではありませんか。

生きた少女がキャンバスにそのまま閉じ込められたかのようです。

これがフェルメールの最高傑作「真珠の耳飾の少女」です。

この絵画は、別名「青いターバンの女」とも呼ばれ、「西洋のモナリザ」と称されるほどの賞賛を受けました。

毛髪を一筋も見せずに大きなターバンで頭部をしっかりくるみこみ、首までしっかりと衣服を着込んでいるその姿は修道女のようです。

彼女は心持ち体をこちら側に向け、何かを訴えかけるような瞳で少し上目遣いで視線を投げています。

顔立ちは、非常に整っていて明瞭です。

秀でた額、子鹿のようなつぶらな鳶色の瞳、形よい鼻筋、つややかな薔薇色の唇、綺麗な白い前歯、そして透き通るような肌。

どこを見ても完璧です。真っ暗な背景が、少女の美しい顔のフォルムをより強調させています。

頭には大きな青いターバンを巻き、耳にはこれまた大きな真珠の粒のピアスをつけています。

青いターバンは筆舌しがたいほどの美しい色調を放っており、それが少女の肌をさらに美しく見せています。

それもそのはず、その色の原料は鉱石のラピスラズリなのです。

少女は真珠の耳飾以外に装飾品を見につけてはおらず、また黄色い衣服で体を覆って肌をほとんど露出しておりません。

それにも関わらず、どこか艶かしさを感じさせます。

少女は何を想い、こちらを見ているのでしょうか。

実に意味ありげな、ミステリアスな表情をしています。 

一度この絵を見たら、永遠に忘れることはできないでしょう。

それほどインパクトのある人物画像なのです。

 

 


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