「モーガン=ル=フェイ」

フレデリック・サンズ

1864年頃制作 バーミンガム市立美術館所蔵

 

 

 

円卓の騎士で知られる「アーサー王物語」は5−6世紀のイギリスで実在したアーサー王がモデルになっている騎士道物語です。

この多種多様な人物が登場する起伏に富んだ物語を、中世の伝説や物語を主題にするラファエル前派の画家たちは好んで取り扱いました。

フレデリック・サンズもそうした一人で、彼はこの物語に登場する幾人かの人物を描いています。

この「モーガン=ル=フェイ」もそのうちのひとつです。

画面を見ると、男か女か判別は難しいですが、実はこの人物は女性で、主役のアーサー王の異父姉にあたります。

父親は違うけれども、血のつながった実の姉弟でありながら、彼女は彼の敵にまわりました。

修道院で修行し魔術に通じた彼女は、それを用いて弟を滅ぼそうとします。

その彼女が蠱惑的な衣装を身にまとって、書物や秘薬が入った容器などが転がっている妖しげな部屋の中に立っています。

そして金のランプを手にしながら、苦悶の表情を見せています。

一体何をしているのでしょうか?

彼女の後ろに機があります。そう、今、彼女はこの機で外套を織り上げたところなのです。

でもそれはただの外套ではありません。魔法の外套なのです。それもアーサー王の体を焼き尽くすための。

彼女は今棚の上にその外套を広げて、ランプの灯でその細工の仕上がりを確認しているところなのです。

 

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