「不意打ち!

アンリ・ルソー

1891年制作 ロンドン・ナショナルギャラリー所蔵

 

 

 

  

鬱蒼と生い茂る亜熱帯林に嵐が吹き荒れています。

その凄まじいこと凄まじいこと。

木の幹や枝はあらぬ方にひしゃげ、はるか先では稲妻が光っています。

荒れ狂う暴風雨や雷鳴の轟く音が今にも聞こえてきそうです。

その嵐の中、横殴りの雨に叩きつけられている植物群の中に一匹の虎がいます。

虎は植物たちに混じって、あたかもその一部のように存在しています。

一体何をしているのでしょうか?

虎は目を大きく開きながら、その獰猛な爪と牙を見せ、かがみこんで身を低くさせています。

恐ろしい嵐に怯え、吹き飛ばされないように身を草木の中に隠しているのでしょうか?

それとも、嵐の中で見つけた獲物に飛び掛ろうとしているのでしょうか?

画面の中には虎しかいないので確実な答えはわかりません。

タイトルは「不意打ち」。

突然の嵐に虎が「不意打ち」されたのか、それとも嵐にまぎれて虎が獲物を「不意打ち」しようとしているのか・・・。

どちらにも見えます。

それは見る人の心模様によっても変わってくるのでしょう。

なんとも不思議なこの作品は、発表された当時大きな話題を呼びました。

その中でナビ派のフェリックス・ヴァロットンはこの作品をこう語っています。

「獲物に飛び掛ろうとする虎が欠けていてはならない。それこそが絵画の初めであり、終わりなのだから」

 

 


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