「オダリスク」

フレデリック・レイトン

1862年制作 個人蔵

 

 

 

 

画面の中にくつろいだ様相で、立ちながら塀にもたれかかっている一人の女性がいます。

女性はゆったりとした白いコットンの衣をエキゾチックな更紗の腰帯で身体に巻きつけるようにして纏っています。

左手には豪奢な孔雀の羽を持っています。

上半身の衣ははだけていて、豊満な胸が露わになっています。

その女性の前には、かしずくようにして1羽の白鳥がいます。

この女性は一体何者なのでしょうか――?

彼女はこの作品のタイトル通り、そう、「オダリスク」なのです。

「オダリスク」とは後宮の女性のことであり、美術史上の古典主義時代、画家たちが好んで取り扱った題材の一つです。

フレデリック・レイトンは、甘美で享楽的な主題とするこの作品を1862年に制作しました。

画面は異国情緒の雰囲気が漂っており、非常に魅惑的で艶めかしい作品です。

それは性的暗示させるアトリビュートが画面の中に描かれているからです。

白鳥がそうです。

レイトンはこの作品をギリシャ神話の「レダと白鳥」を思い浮かべて制作しました。

「レダと白鳥」――それは主神ゼウスが白鳥に姿を変えて、美しい娘レダを誘惑し、身を捧げさせるというエピソードです。

その伝説を基調にして描かれた白鳥は、頭部と口ばしが女性の身体に突き出された男性の性器のイメージで描かれています。

女性は恍惚とした表情でその白鳥に視線を向けています。

「オダリスク」というタイトルにふさわしい実に官能的な作品です。

本作品は制作された年にロイヤル・アカデミー展に出品されました。

当時のタイムズ紙からはこのように評されています。

「無為の喜びを表すこの上ない作例――逸楽者にふさわしい牧歌的な風景」と。 

 


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