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「祈り」 フレデリック・レイトン 1889年制作 個人蔵
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全身を白い衣で覆った女性が一人画面の中で屹立しています。 女性は頭上で輪を描くようにして、両腕をかかげています。 その瞳は一心に何かを見ています。 一体彼女は何をしているのでしょうか。 タイトルは「祈り」。そう、彼女は今、女神に向かって「祈り」を捧げているのです。 彼女の背景や全身をまとう巫女のような白い衣、そして視線の先にほのかに見える女神像の足元などからそれが推察されます。 「祈り」の姿勢というと、胸のところで手を組み目をつむる、といったポーズが頭に浮かびます。 しかしこの女性はまったくそういった姿勢をとっていません。 女性はこういう姿勢をとることによって、自身のミューズからインスピレーションを受けられるようにしているのです。 彼女は踊り子であり、これが彼女の「祈り」であるのです。 艶かしい肌を持った美しい踊り子ですが、それにも増して美しくかつ目を奪われるのは彼女の肢体を覆う白い衣です。 その襞の美しいこと美しいこと。特に腰回りにかけての稜線はため息をついてしまうほどの流麗さです。 またこの衣の放つ透明感が作品全体を格調高く崇高的なものにさせています。 レイトンはこう語っています。 「人体は3日で描けるが、それに襞を着せるのは30日かかる」と。 また襞が持つ表現力の豊かさについてはこう記しています。 「襞に表された動きと静止の源の組み合わせ――絶対的な静止を伴う生ある水のような奔放な流れとさざ波」 レイトンは襞を表す類の絵を描くことに固守しましたが、これはその代表的な作品ともいえるでしょう。
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