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「カリュプソの島」 ハーバード・ジェイムス・ドレイパー 1897年制作 マンチェスター市立美術館所蔵
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さえざえとした大海原を前にして、一人の裸婦が岩場に座っています。 裸婦は、海に入り身を清めるつもりなのでしょうか。 右手に鏡を持って、装飾具を外して、衣服をはぎ取っています。 後ろ姿しか観者に見せていませんが、相当美しい女性であることが、その輝く裸身からわかります。 真珠のように真っ白い、滑らかな肌をしています。 それが深い青色をした海に映えて眩しいほどです。 この麗人は何者なのでしょうか。 彼女の名前はカリュプソ。 伝説的な詩人ホメロスの描いた叙事詩「オデュッセイア」に登場する人物です。 「オデュッセイア」はトロイア戦争の後、イタカ島の王である英雄オデュッセウスが、各地を放浪して行った貴種流離譚の冒険話です。 第5巻で、彼は航海中に難破し、陸から遠くに隔たったオギュギア島に漂着します。 そのオギュギア島こそが、画面に描かれているカリュプソの島なのです。 カリュプソはオギュギア島に住むただ一人のニンフでした。 海岸に打ち上げられたオデュッセウスを介抱した後、二人は愛し合うようになります。 そこで7年間ともに暮らします。 しかしオデュッセウスは、島の生活に飽き、出て行ってしまうのです。 カリュプソは再び一人になってしまったのです。 画面はオデュッセウスが島から出て行った後のカリュプソを描いています。 とても美しい画なのに、寂寥感があふれているのはそのためでしょう。 哀切的な波の音がキャンバスから聞こえてきそうです。 本作品は、1900年にパリの国際展に出品され、審査員たちから賞賛を受けました。
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