「モルトフォンテーヌの思い出」

ジャン・バティスト・カミーユ・コロー

1864年制作 ルーブル美術館所蔵



 

モルトフォンテーヌはパリの北東50キロメートルあまりのところにある静かな土地です。

湖沼の多い起伏のある土地のため、時折霧が辺りを包み込みます。

それは実に神秘的でロマンティックな光景です。

そのため18-19世紀にかけて、都会の喧騒から逃れる貴族たちの間で人気のあった土地でした。

その美しい朝の情景をコローは一枚のキャンバスの中に描きこみました。

そしてこれは彼の代表作品ともなり、今日も尚、世界中の人々に親しまれ愛されています。

1864年にこの作品は発表されるとただちに当時の最高権力者であったナポレオン3世に3000フランで買い上げれました。

フォンテーヌブローの城館に置かれたこの作品は皇帝失脚後は国有財産となり、ルーヴル美術館に所蔵されれることに

なります。

20世紀になると紙幣に起用されるなど、国民的に根強い人気を誇っている作品でもあります。

雄大な自然に囲まれながら、花を摘んで木に掲げている女子供たち――。

実に心温まる情景ではありませんか。

キャンバスの中にはゆったりとした柔らかな空間が広がっています。

「コロー親父」と呼ばれ、多くの画家たちに親しまれた心優しいコローだからこそ描けた絵なのではないでしょうか。

「これはもう絵というよりは詩そのもだ」 


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