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シャガールは人口の大部分をユダヤ人が占めるベラルーシで生誕し、97歳でその生涯を終えています。
およそ一世紀におよぶ彼の生涯は、ほぼ全て制作活動に費やされ膨大な数の名作を残しました。
彼は油彩画だけではなく、版画、壁画、陶器などの制作もし、晩年になってもその意欲的な活動は衰えることがなかったと言われています。
夢見るような浪漫的な作風を描くことから「絵画における詩人」とか「色彩の魔術師」などと称され、その作品は今日も尚、世界中の人々に愛されています。
この彼の描く独特の世界は、ある一人の女性によって生み出されたものです。
その女性の名は、ベラ・ローゼンフェルト。
シャガールの生涯の美神となった美貌の妻です。
1909年に、彼はベラと出会い、彼女に夢中になりました。
しかし、それほど裕福でない家庭の末子に生まれたシャガールと女優を志したこともある金持ち娘のベラとでは家柄に差があり、猛烈に結婚を反対されてしまいます。
ですが、二人は周囲の反対を押し切って婚姻を結びました。
シャガールはベラを作品に多く描きました。
彼の作品に多く登場する花や花束も、ベラに対する思いの表れでもあります。
ベラは彼にとって、まさしく創造の源泉であったのです。
そしてまた彼女は彼の良き理解者でもありました。
二人は愛情に満ちた生活を送りますが、その幸福な時間はあまり長く続きませんでした。
1944年に亡命先のアメリカで、ベラが病死してしまったのです。
シャガールは絶望し、しばらく絵筆を握ることができませんでした。
「ぼくは目の前が真っ暗になった」
と、後の回想録で彼はこう語っています。
美神を永遠に失ってしまった彼ですが、周囲に支えられながら再び制作活動をはじめます。
そしてパリへと戻ると、フランス国籍を取得し、ユダヤ人女性のヴァランティーヌ・ブロツキーと再婚をしました。
その後は、オペラ座から依頼された天井画の創作や連作の作品を国家に寄贈するなどして、大きく社会に貢献しながらその生涯を終えます。
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<マルク・シャガールの作品>
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