童話を基調にした異世界ファンタジードラマである。 その主人公となるのは現代のNYに住むバージニアという16歳のごく普通の少女。 父一人・娘一人という家庭に育った少女だ。 母親は彼女を生んだ直後失踪してしまったという。現在もなおその消息は知られていない。 アパートの管理人をして生計を立てている父親は、そのためかあまりパッとしない男性である。 そんな父親とともに暮らしながら、バージニアはウェイトレスをして家計を助けている。 ストーリーはその彼女の前に一匹の奇妙な犬が登場したところから始まる・・・。
バージニアの前に突如出現した奇妙な犬。 だがその犬はただの犬ではなかった。と、いうより犬ではなかった。 なんとその犬の正体は魔法の国からやってきた王子さまだったのだ。 彼は王位簒奪をもくろむ彼の継母から、魔法で姿を犬にされてしまったのである。 そしてあわや命までとられそうになったとき、危機一髪で鏡を通して、こちらの世界に逃走してきたのである。 ちょうどそのとき鉢合わせたのが、バージニアだったのだ。 そんなことを知らない(当たり前か)バージニアは、彼のことを単なる捨て犬だと思う。 彼を哀れに思った彼女は、バイト先の店まで犬を連れて行く。 が、彼の命を狙った刺客もこの世界に入り込んできていたのであった。 このままでは自分もバージニアも危ないと思い、なんとかそのことを彼はバージニアに伝えようとするのだが、犬にされてしまっているためそれができない。 彼の必死の努力(?)もむなしく、魔法の国の王子の継母が放った刺客が彼らの前に現れ出るのである。 いきなり自分の前に出現し、襲い掛かってきた彼らにバージニアは当然驚く。 彼女は訳がわからないまま犬を連れてNYの街を逃げ回る。 そうして彼らに追われながら父親も巻き込んで、なんと彼女は王子のいた国に入り込んでしまうのである。 と、これが彼らの冒険譚の始まりとなるのである。
バージニアと父が入りこんだ世界とは・・・。 全部で9つの国からなる魔法の世界である。 そしてその国をすべて統括する権利を持つのが、4番目の国に住まう白雪姫の孫である王子さまなのである。 血の繋がらない彼の母親は自分がこの国の実権を持つべく、彼の存在を抹殺しようとしていた。 そんな激動の政変渦巻く中、この世界に迷いこんでしまったバージニアと父。 彼らの運命やいかに!?
本作は異世界に入り込んだ一組の親子が、元の世界へ帰ろうとするサバイバルアドヴェンチャーストーリーである。 異世界に入り込んだものの(入るのは簡単だった)、元の世界へ戻れなくなってしまった。 犬にされた王子さまによると、元の世界に戻るには、こちらの世界にやってきたときの入り口となった鏡が必要になのだそう。 その鏡こそが、元の世界へ帰るただひとつの道らしい。 バージニアと父親はその鏡をさがすべく、この魔法の王国にてそれを探しはじめる。 ともにこの世界に入り込んだ犬にされてしまった王子さまとともに。 が、そのたった一枚の鏡がなかなか見つからない。 しかもこの世界は彼らのいる世界とはまったく違う異質の世界なのである。一般的な常識は通じない。 ましてここは魔法が跋扈する不思議の国である。そんな中に彼らは身一つでいるのだ。 また命を狙われている犬にされた王子さまもいるから、ともに刺客の標的にもされてしまう。 自然、鏡を探す彼らの行く手は険しいものになる。 次々と妨害が降りかかってくるのである。 果たして彼らは鏡を見つけて無事にもとの世界に戻ることができのだろうか・・・?
童話を基調としたファンタジー作品というだけあって、本作の映像はすばらしく美しい。 全部で4章からなるドラマであるが、それらの章すべてにわたって夢のような情景が広がっている。 子供のころに見た絵本の世界がそのそのまま飛び出してきたような感じだ。 誰もが知っているおとぎの国のヒロインシンデレラや白雪姫も登場するからうれしいことこの上ない。 そしてそんな世界においてバージニアと父親が苦心して障害を切り抜けるサマが実に痛快で、これが物語の醍醐味になっている。 また愉快な魔法のアイテムの登場もうれしい。 バージニアが「We Will Rock You!」を歌うシーンや歌う魔法の指輪(このアイテムすごくかわいい!ほしい!)などは実に心くすぐる演出となっている。 え、なんのことかわからない!? それは本作を是非ご覧になって♪ ラストは結構・・・意外・・・かも・・・!?
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