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女系家族 | |
2005年TBS作(全11話) 脚本:清水曙美 出演:米倉涼子 | |
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ほとんどTVを見ることのないわしが、毎週放映されるのを楽しみにして見たドラマである。 「華麗なる一族」の作者・山崎豊子の著書が原作となっている。 過去再三に渡ってドラマ化されているが、今回の作品は現代版にアレンジされた。 舞台は大阪から東京へ、そして矢島家が老舗の和服問屋から呉服商社へと変更されている。 登場人物においては主人公の文乃の設定が大分違っているが、他の登場人物とストーリーはほぼ原作通りである。
ストーリーは矢島家の現当主・嘉蔵が病により鬼籍に入ったところから始まる。 矢島家は商いを含め、大規模な森林をも所有する資産家である。その資産をめぐって、残された娘たちが骨肉の争いを始めるのである。 矢島家は代々女性が家を取り仕切る女系一家。父親といえども、嘉蔵は家の奴隷にすぎなかった。 娘たちは父親が亡くなったというのに嘆きもせず、残された遺産の取り分のことで頭が一杯だった。 婿養子である嘉蔵は、矢島家のために死ぬまで働いてきたというのに・・・。 そんな彼にも安らぎがあった。それは本編の主人公ともいえる女性・文乃である。 文乃は嘉蔵のことを一人の人間として本当に愛し、また尊敬していた。 が、すでに嘉蔵は他界。天蓋孤独の身の上であった文乃は本当にひとりぼっちになってしまった。 と、思いきや、彼は自分の忘れ形見を彼女に残していた。そう、文乃は嘉蔵の子を身ごもっていたのである。 この文乃の存在を嘉蔵が亡くなるまで知らなかった矢島家の娘たちは凄まじい怒りを見せる。 少しでも自分の取り分を多くしようと画策している矢先に、横からそれを奪い取ろうとする人物が出現したのだから・・・! しかし肝心の嘉蔵の遺言書には「文乃のことをよしなに頼む」としか書かれていない。 だが、文乃が子供が生まれて「この子の取り分もください」なんて言い出すかもしれない・・・・。 そう危惧した娘たちは、あの手この手を使って文乃に財産を渡さないように画策しだしたのである。 矢島家の文乃に対する攻撃や凄まじく、彼女は相当に酷い目にあわされる。 また矢島家の莫大な財産を狙うハイエナのような人物たちも、自分も遺産のお零れに与ろうとこれ幸いにとこの争いの渦中へと便乗する。 醜い、本当に醜い争いである・・・。それは物語の最後まで続く・・・。
一種のリベンジもの・・・であるといえる作品。しかし後味はあまりスッキリしない。 それは復讐の仕方がちょっと卑怯な手段であるのと、最後に文乃が見せた不気味な笑顔が原因となっている。この笑顔はホントに怖い。マジ怖い。 「他人の不幸は楽しい」ので、ストーリーは実に面白い。また先行きの見えない展開なので、最後まで飽きずに見ることができる。 出演者の顔ぶれもゴージャス。米倉涼子・高島礼子・瀬戸朝香 ・香椎由宇 ・浅田美代子 等、美貌の女優が勢ぞろい。 絢爛豪華な着物をまとって画面に登場する彼女たちの姿は実に美しく、目を楽しませてくれる。 ベテランの役者が揃っているので、演技力はいうまでもない。長女・藤代役はかなり難役と思われるが、高島礼子は見事に演じきった。 次女・三女役は地でいける・・・。彼女たちのバトルも見ていてこれまた楽しくある。 原作の持ち味はまったく損なわれておらず、見事な出来合いのドラマだ。 因習に縛られてそれに踊らされる人間模様を実に見事に描ききっている。 ただ最後の嘉蔵の高笑いはいらなかったんじゃないか、と・・・。
本作品はドラマの出来栄えに反し、視聴率は悪かった。それは同時期に別の人気ドラマに集中してしまったためである。 なお、また宣伝にもそれほど力を入れていなかった。 こんなドラマが放映されているのなんて、当時知らなかった人って多かったんじゃないかと思う。 わしだってそうだっだもん。TVつけていたら、偶然にこのドラマが放映されていて、それで知ったのだから・・・。 何気なく見ていたら、面白くてはまってしまったのだ・・・。うーん、数字がすべてって訳じゃないのね。
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ご存知キムタク主演のドラマ。「女系家族」と原作者が同じです。こちらは現代版にアレンジしていません。 | |
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松本清張原作のサスペンスドラマ。稀代の悪女を米倉涼子が好演しています。 | |
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こちらも松本清張原作のドラマ。これも米倉涼子が主役を演じています。 | |
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自分の母親をモデルに描いたなかにし礼原作のドラマ。主演の波子役を高島礼子が好演しています。 | |
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