東京BABYLON
著者:CLAMP |
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「あなたは東京が好きですか?嫌いですか?」で始まるCLAMPさんの人気作品。 タイトル通り、東京を舞台にした異色怪奇ストーリーです。 本作は今から20年前の世紀末に向かっていた時期に、月刊誌「ウィングス」にて連載されました。 世情に反映してか、当時はオカルト系が流行しており、そういう意味ではこの作品も時流に沿っていたといえましょう。 この作品を描いたのは、皆さまご存知の人気漫画家グループCLAMPさん。 「魔法騎士レイアース」や「カードキャプターさくら」「ツバサ」などの作品を描いてTV化されたことで知られています。 昨今はかなりメジャー化されましたね。活躍されているご様子をあちこちの雑誌でお見かけします。 この「東京バビロン」はCLAMPさんが、商業誌デビューを果たし、大メジャー化される前に描かれた作品です。 だから良い意味で読みやすい作品といえましょう。(絵もコマ割もかっきりしています) 彼女たちは商業誌デビュー以前(つまり同人誌時代)から多くの作品を手がけてきました。 しかしそれらの作品のどれもが思い切り泥甘なハッピーエンドか、全く救いようのない悲惨な結末かのどちらかなのです。 この「東京バビロン」は後者。主人公を果てしない暗闇のどん底に突き落とす結末で終わっています。 その悲劇の主人公となるのは皇昴流くん。除霊を生業とする皇家の13代目の当主です。 彼自身ももちろん霊能力者で、その力は歴代の当主の中でも抜きん出ていると言われています。 しかしその能力に反比例して性格はいたって温厚。いつも自分のことより他人のことを考えてしまう心優しい少年なのです。 物語はその彼が能力を使って、東京で起こる怪事件を解決していくという一話完結型の形式で展開していきます。 東京は日本の首都。いろんな人間が集まります。だから奇っ怪な出来事も起こって当然。 社会の歪みによりねじくれてしまった人々が怨霊化してしまったって不思議はないのです。 昴流くんは陰陽師さんなので、そんな怨霊化してしまった人々を除霊していかなければなりません。 いくらお仕事とはいえ、昴流くんが辛く苦しい思いをしているということは、自然に推し量られるというもの。 そんな彼を暖かい目で見守っているのが、新宿で獣医をしている桜塚星史郎さんでした。 彼は昴流くんが大好きでした。そして昴流くんもまた彼に好意を抱いていました。 でもこの星史郎さん、実は只者じゃなかったんです・・・。 本書の終末で星史郎さんのはその本性を昴流くんに曝し出します。 なんと彼は昴流くんのお家の皇家と敵対する暗殺集団である桜塚護の一族の人間だったのです。 物語中において星史郎さんが見せていた昴流くんへの親愛の情は、すべて虚構であったのです。 昴流くんは星史郎さんにめちゃくちゃにされます。それは一片の救いもないほどに・・・。 当初見せていたあの優しさは?あれは全部嘘だったの・・・? 星史郎さんはいわばこの「東京」を体現化した人物だったのではないでしょうか。 一見すると心を開いて誰でも受け入れているように見えるのですが、でも実は「あんたなんかに用はない」と突き放している・・・。 それはまさしく「東京」。誰でも受け入れる「東京」。でも実は冷酷に自分を見放すことができる「東京」・・・。 そんな「東京」をあなたは好きですか?嫌いですか?
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