笑う大天使

著者:川原泉

 

 

ご存知カーラ教授の大人気コミック作品です。

本作は今から(2009年時点)20年以上前に「花とゆめ」で長期連載され、大好評を博しました。

連載終了後から相当の年数が経っていますが、いまだその人気は衰えず、近年では実写版で映画化までされています。

物語の舞台となるのは「聖ミカエル学園」。

カーラ氏の他の作品にもたびたび登場している、あの「アーク・エンジェルの乙女達」が通う学園です。

その「聖ミカエル学園」は、深窓のご令嬢しか教育を受けることができない名門お嬢様学校。

だからそこには薔薇の花びらしか口にしないような百合子さまや桜子さまなどがうじゃうじゃいます。

がんもどきやぼたもちなどとんでもない!またその存在すら知らないのではないか?と思われるような――。

が・・・。どこの世界にでも例外はあるというもの。アウトサイダーな人間っているんです。

ここにもいたのです。そう、この名門学園の中にも――。

薔薇の花びらしか口にしない乙女たちの中に、がんもどきを口にする少女たちがいた、のです・・・。

それが本作の主人公たちとなる史緒さん、和音さん、柚子さんの三人。

世の中にはどう頑張ってもお嬢様になれないことを本能的にまた経験的に知っている少女たちです。

望むと望まざるにも関わらず、このお嬢様学校に通う三人。

物語は主人公の一人である史緒さんが、ご家庭のご事情によりこの学園に転入してきたことから始まります。

ミカエルさまのいたずらかご配慮か、この三人は苦しくも同じクラスになりました。

もちろん当初はお互いの正体(?)は知らず、猫を被っているのですけど・・・。

が・・・。

ある日、史緒さんは慣れないお嬢様生活にストレスを感じ、とうとう我慢できずに学校内であじの開きをかぶりついてしまいました。

その場面を二人が発見。史緒さんは正体(?)を知られてしまいます。

そしてまた二人も実は猫を被っていたのだということもわかってしまったのです。

親しみを感じあうようになったこの猫かぶりな三人は、互いの家を行き来するほど仲良くなりました。

物語はここより急展開。

すっかり仲良しになった三人組は、ある日化学室を掃除しているとき、先生から実験の後片付けをするように命じられました。

このお嬢様たちは根っからの庶民なので、学園に通うお嬢様たちなら決してしないようないたずらもします。

彼女たちは好奇心にかられて実験に使われた化学品を混ぜ合わせる遊びをしてしまうのです。

結果、妙な化学反応の起こしたその液体から怪しい煙が立ち上がってきました。

そしてその煙に巻かれた三人は、なんと超人的なパワーを持ってしまったのです。

と、そんな折、お譲様を狙った誘拐事件が世間では勃発している様子。

なんとこのミカエル学園でも5人の女学生が誘拐されてしまいました。

しかも誘拐されたお嬢様がたは三人が懇意にしている人物たちだったのです。

三人はこの超人的パワーを使って、誘拐されてしまった盟友の救出に向かいますが・・・?

お嬢様には憧れるけど、どうしてもなれない・・・。そんな三人の少女たちが大活躍する物語です。

彼女たちに共有感、そして親近感を持った読者は多かったのではないでしょうか。

特に物語中においての史緒さんの言葉など・・・。

「そりゃたまにはフランス料理もいいさ。だけどやっぱり毎日は・・・。ああ、カップラーメンが食べたい・・・」

高級な料理は生まれたときから食べてない人間にとって毎日は拷問ですよねえ〜。

またストーリー上における彼女たちの猫かぶりにも失笑したのではないでしょうか。

本編連載終了後は、それぞれを主人公にした続編物語が発表されました。

史緒さんを主人公にした「夢だっていいじゃない」は賛否両論とか。

わしも「否」ですね。物語的にはとても好きなんですけど。

家族愛が薄かった分、二人にはそれぞれ別の家族をもって、たくさん子供をつくって一緒に賑やかに暮らして欲しかったです。

(でも二人のキャラクターからしてこれは無理な設定か・・・)

一臣さんは静姫と結婚すればよかったのではないかと思うのですが・・・。

 

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