レディ・マスカレード

著者:さいとうちほ

 

 

 

主人公の名前は麻生せつな。
明るく快活な24歳の女性です。
器用で何でもよくこなし、特にマッサージが得意なのでよく人に頼まれます。
健康的な美人さんなのですが、実は彼女は軽井沢にある療養所の入院患者でした。
それも9歳のときから15年間も入院しているのです。
せつなは9歳の時に、自動車事故で両親を亡くしてしまいました。
そのとき同乗していた彼女は助かったものの、恐怖とショックで当時の記憶を無くしてしまったのです。
それ以来、せつなは療養所で心の治療を続けながら生活を送り続けているのです。
両親を亡くし孤児になった彼女を援助しているのは父親の友人とのことですが、せつな自身も一度も会ったことがないので真相はわかりません。
そんな彼女に転機が訪れます。
療養所で仲良くなった女性が結婚することになり、その結婚式に楠健生という名の男性が現れたのです。
彼は事故で川に落ちたせつなを助けた人物でした。
そしてせつなは思い出すのです。
両親が殺されたのは、自分があるものを目撃してしまったからだということを。
そしてその犯人たちもわかり、彼女は復讐を決意します。


人気漫画家・さいとうちほさんのサスペンスストーリーです。
世紀末からミレニアムにかけて「プチコミック」で連載され、単行本は全二巻刊行されました。
幼いころ、あるものを目撃してしまったためヒロイン・せつなに起こった悲劇。
恐怖と悲しみによるショックため、せつなは15年もの間療養所で過ごすことになります。
事故当時、彼女を救った少年が成長して目の前に現れたことにより、彼女の止まっていた時計が動き出しました。
両親を死に追いやり、自分の人生を台無しにした四人の人物たち。
せつなは彼らに近づいて復讐を果たしていきます。
ですがストーリーを読み進めていくうちに、せつな同様読み手も「なぜ殺したのか?」という疑問が胸中に渦巻きます。
せつなが目撃した場景は、他者には決して見られたくなかったことかも知れませんが、殺してまで口を塞ぐほどのことでもありません。
真実は最終局面にて判明します。
登場人物たちの15年前の因縁ともいえる絡まりあった糸がほどけて一つの隠された驚愕の事実に、主人公ともども読者も対面することになります。

さほど長い話ではなく、テンポも良いのでサクサクと読み進める作品です。
またサスペンスとはいえ、さいとうちほさん得意の甘やかな胸打つラブロマンスもストーリー全般に渡って浸透しています。
画はもちろん流麗かつ美麗なので読み応えも見応えも抜群です。
面白い、の一言です


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