高河ゆん氏は1980年代後半から1990年代前半にかけて漫画界にセンセーションを巻き起こした漫画家です。
商業誌デビューを果たす前は同人界で活躍し、その頃から大勢のファンがいました。
氏はその人気度と若さにいわせて、作品を次々と種々様々な雑誌に発表していきました。
どの作品も画が流麗で華麗な上、ストーリーも面白く、キャラクターも魅力的だったので、漫画家としての氏の人気は上がる一方でした。
が・・・。人間のエネルギーは無限ではありません。
氏は途中で疲れ果ててしまったのか、ほとんどの作品を中途で描くのをSTOPしてしまったのです。
現在(2013年)にいたって尚、発表した作品のほとんどが未完となっており、きちんと完結している作品の方が少なくあります。
氏は未完の物語があるのにも関わらず、新しく別の物語の連載をはじめてしまう・・・、そういうことを何度も繰り返したのです。
(描かせる編集者も悪いぞ。売れりゃいーのか!? 未完作品の単行本を買ってしまったわしは一体どーすりゃいーんだ!?)
上記のわしのように不平を言う読者も多数いましたが、それでも氏の作品を楽しみに待つ読者は減ることはありませんでした。
それだけ氏の作品は魅力的なものだったのです。
この「子供たちは夜の住人」という作品もそうです。実に魅力あふれるお話なのです。
本作品は、氏が漫画を描きまくっていたその絶頂期に描かれた作品であるから尚更でしょう。
しかも本作はキチンと完結しているので、安心して(?)最期まで読むことができます。
また概ね画も安定しており、それほどブレもありません。
そのお話の主人公となるのは御獄界に住む大悪魔・柴(さい)ちゃんです。
この柴ちゃんは氏の描くキャラらしく、強くカッコよく美しく残忍で身勝手です。(普通の漫画の主人公の枠にははまらないですネ)
お話は、この柴ちゃんが自分のお母さんの我儘を聞いてあげるところから始まります。
お母さんであるまりあの言った我儘とは――御獄界の太陽を支えるために柱となっている四天王を出してあげて欲しい、というものでした。
まりあは柱となっている地を司る道麻(どうま)から、お花をたくさん咲かせてもらったので、彼女にそこから出てきてほしかったのです。
ですが、彼女は太陽を支える柱の一角を担う四天王。出してしまえば柱は崩れ、太陽が堕ちてきて御獄界は消滅してしまいます。
だからそんなお願い聞くなんてとんでもないっ!、と思うのが普通ですが、なんと柴ちゃんはまりあのお願いを叶えてしまうのです。
前述しましたが、柴ちゃんは御獄界きってのとーっても強い力を持つ大悪魔です。
四天王を柱から外に出すなんてこと訳ないのです。
柴ちゃんの力により、柱から解放された風・水・火・地をそれぞれ司る四天王は、二度と柱に戻るもんかと、地上へと逃げてしまいました。
地上――それは我々人間の住む世界です。そして支えを失った太陽は堕ちてき始めて――!!
これを知った御獄界をしきる将軍は大激怒。ま、当然ですネ。
太陽を支えるためには、再び四天王を柱にしなければなりません。だから地上から連れ戻さなければならないのです。
柴ちゃんは、自分で四天王を柱から解放しておきながら、自分で捕まえに行くことになりました。
一時的に自分の力で太陽を支えておきながら・・・。
果たして柴ちゃんは無事四天王を御獄界へ連れ戻すことができるのでしょうか――!?
と、まあ、こんなお話です。のっけからハデな展開を見せてくれます。
氏の作品はみな強烈なインパクトが最初からあります。だから次が気になって仕方がないです・・・。
四天王を追って地上に向かった柴ちゃんは、彼らと壮絶なバトルを繰り広げます。
我儘で奔放で絶対的な力を持つ柴ちゃんです。思いっきりその力を放出して、我々に見せつけてくれます。
その爽快なこと爽快なこと。読んでいてとても気持ちが良くなるくらいの破壊っぷりです。
日頃ストレスをためている人は、暴れまくる柴ちゃんに自分を重ねると、鬱憤が発散されること間違いなし!です。
そこのストレスがたまっている貴方。本書を読んで是非発散させてください。
番外編の柴ちゃんのお父さんのストーリーもグーですよ。
成程、柴ちゃんの力と性格は、この父親から受け継いだのか・・・、と納得してしまいます。
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子供たちは夜の住人 (上)
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