あき姫(あきひ)
著者:佐伯かよの | |
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変身願望は誰の心の中にでもあるもの・・・。 そんなツボを抑えて楽しませてくれるのがこの「あき姫」。 今から20年以上も前に月刊雑誌で連載された作品です。 主人公はタイトル通り「あき姫」という名の17歳の少女。 物語冒頭では、この「あき姫」は何ひとつとりえのなさそうな存在感の希薄な高校生として登場します。 でもそれはあくまで仮面。本当の彼女は才気豊かな美貌の持ち主です。 彼女は自分と同じ名前の画廊「あき姫」を経営するために、その本来の自分を覆い隠しているのです。 仮面を剥ぎ取った画商「あき姫」は凄腕のスーパーウーマン。 経営手腕に長けているだけではなく、絵の鑑定眼もずば抜けており、また贋作作りの天才でもありました。 それに加えて美貌で、お金持ちとくれば、読者は嫉妬しないではいられないハズ・・・。 が・・・。この「あき姫」にはそんな卑しい思いを抱くことはできないんです。 それは、彼女が二重生活をしている理由に繋がります。 彼女が高校生でありながら画廊を営んでいるのは、亡き父が描いた自分の肖像画を探すためだったのです・・・。 すべてにおいて恵まれているように思えるあき姫にも、実は不幸な過去がありました。 彼女が幼いときに、なんと母親が自分と父を捨てて出て行ってしまったのです。 残されたあき姫は父親に育てられて成長しますが、やがてその彼も亡くなってしまいます。 つまり彼女にはご両親がいないわけです・・・。いくらお金持ちで美人でもちょっとこれはイヤですよねえ〜。 彼女のお父様は大財閥の息子さんでお金持ちでしたが、彼自身は売れない画家さんでした。 その彼が描いたという自分の肖像画。いくら世間では評価が低いとはいえ、それは父が自分を愛してくれた証拠であります。 それを手に入れるためなら、どんな苦難も厭わない・・・! と、いうわけで彼女は画商と学生という大変な二重生活を始めたのです・・・。 果たしてあき姫はどこにあるともしれない父の作品を見つけることができるのでしょうか・・・!? 物語は彼女がその絵を探すことを目的に画商をしながら、さまざまな人物と出会っていく、一話完結型の形式で進んでいきます。 若干17歳の彼女が能力を駆使して、大人たち相手に商売の駆け引きをしていく姿には、しびれますよ。 絵が好きな人はもちろん、そうでない人も楽しめる作品です。
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