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ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 1906年制作 アバディーン美術館所蔵
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「ああ、くたびれた…」 あたかもそんな声が画面から聞こえてきそうです。 画面の中には複数の女性がひしめきあっています。 女性たちはそれぞれ手に真鍮の大きな水瓶を持っています。 そして画面中央にある水瓶に水を注いでいます。 しかしその水瓶は口が開いており、そこから水はただ漏れしています。 これではいくら注いでも水は貯まりません。 彼女たちはどうしてこんなことをしているのでしょうか? 彼女たちの表情は誰も億劫そうで、姿勢は大儀そうそうです…・ 彼女たちは、実は罰を受けているのです。 いくら注いでも貯まることのない水瓶の中に水を注ぐという…。 でも何故でしょうか? 彼女たちはギリシャ神話に登場する女性で、ダナオス王の50人の娘、ダナイスたちなのです。 ダナオス王は双子の兄弟アイギュプトス王との諍いが原因で、娘たちを彼の50人の息子と結婚させなければ ならなくなってしまいました。 しかし、これをよしとしなかった王は、娘たちに命令し、夫となるべき者を婚礼の夜に殺させてしまったのです。 娘たちはその罰を受け、冥界で穴の開いた水瓶に水を注ぐということを課せられたのでした。 画面はその場面を描き出しています。 本作品は発表当時、芳しくない評価でした。 「毎日の洗濯に嫌気がさしているティッシュタウンのおかみさんの倦怠感がただよっている」と批評されてしまいました。 女性の肌のほどこしかたは素晴らしく、左端の女性が背中に回した手には、細い筆を使って、緑、黄色、茶、灰色の陰影が 見事に加えられているのにも関わらずにです。 これもまた「青いドレスの襞のエセ芸術的な装飾」と謗られてしまいました。
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